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LGBTQ+(性的少数者)に対する偏見や差別について

最終更新日:2024年6月11日

LGBTQ+とは

「LGBTQ+」とは、「性的指向」や「性自認」に関する性的少数者の総称として使われています。
つぎの用語の頭文字から作られた言葉であり、用語の意味はつぎのとおりです。

L:女性の同性愛者(Lesbian:レズビアン)
G:男性の同性愛者(Gay:ゲイ)
B:両性愛者(Bisexual:バイセクシュアル)
T:こころとからだの性が一致しない人(Transgender:トランスジェンダー)
Q:自身の性のあり方について、わからない、定まっていない、あえて定めていない人(Questioning:クエスチョニング)
  性的マイノリティを包括してとらえる語(Queer:クィア)
+:上記以外のさまざまな性のあり方(プラス)

性的指向とは

「性的指向」とは、人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうのかを示す概念のことを言います。
具体的には、恋愛・性愛の対象が異性である異性愛(ヘテロセクシュアル)、同性愛である(ホモセクシュアル)、その両方である両性愛(バイセクシュアル)のことを指します。
同性愛者及び両性愛者は異性愛者に対して少数派であるがために、偏見を持たれたり、様々な差別的扱いを受けることがあります。

性自認とは

「性自認」とは、自分自身の性をどのように認識しているのかを示す概念のことで、「こころの性」とも呼ばれています。
多くの人は、性自認(こころの性)と生物学的な性(からだの性)が一致していますが、この二つが一致しないために、違和感を持つ人がいます。
この状態を「性同一性障害」と言います。
このため、平成16年(2004年)7月に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行されて、法令上の性別について、条件により、性自認に合致するよう戸籍上の性別記載を変更できるようになりました。
しかしながら、「性同一性障害」の人たちも、偏見を持たれたり、職場や学校などで不適切な扱いを受けることがあります。

性的少数者への理解

性的指向や性自認を理由として、差別的な扱いを行うことは、不当なことであり、絶対に許されることではありません。
しかしながら、性的指向及び性自認を理由とする差別が起きているのが現状です。
人間の性の在り方には多様性があり、明確に区別することはできないと言われています。
私たちは一人ひとりが性的少数者への理解を深め、みんなで一緒に誰もが安心して暮らせるまちをつくりましょう。

徳島市パートナシップ宣誓制度について

各種人権相談窓口

その他の取り組み

第4回「市長とわくわくトーク」会議録

日  時  令和3年4月7日(水曜日)10時00分~11時00分

場  所  徳島市役所 8階 801会議室

参加者    レインボーとくしまの会 代表 長坂 航さん

      日本LGBT協会 代表理事 清水 展人さん ほか大人4人、子ども1人

      (うち大人1人、子ども1人はオンライン参加)
テ ー マ   性の多様性について
      性的少数者当事者の思いと行政に求めること
(あいさつ)
(市長)
 徳島市は、性的指向や性自認、どのような性表現をするかに関わらず、全ての人が自分自身を大切にして、自分らしく生きることができる、多様な価値観を認め合うまちの実現を目指しています。
徳島市は、4月1日から、パートナーシップ制度[1]とファミリーシップ制度[2]で利用できる行政サービスを拡充したところですが、こうした動きは、他の自治体でも進んできています。
 一つの自治体が動けば、他の自治体も動き出します。パートナーシップ制度だけではなく、ファミリーシップ制度も拡充していくことにより、最終的には国が動くと思っています。
 今日は1時間と短い時間ですが、皆さんと率直な意見交換ができたらと思います。
(長坂さん)
 レインボーとくしまの会の代表の長坂です。徳島県内で、パートナーシップ制度の導入に向けた活動をしています。
 昨年4月1日、徳島市にパートナーシップ制度ができ、今年の1月1日には吉野川市、4月からは北島町でも制度が始まりました。陳情書が採択されているところは、小松島市、美馬市、三好市、9月には鳴門市が導入予定となっています。全ての自治体で導入してくれるといいですが。阿南市もこの4月末から請願に向けてあげてくれる予定です。応援をよろしくお願いします。
(清水さん)
 非営利型一般社団法人日本LGBT協会の代表の清水展人です。性的指向、性自認、性表現また、身体的にもいろいろな性をもたれている人もいるので、LGBTIQA[3]さまざまな人たちが、この徳島市をはじめ、日本全国どこでも暮らしやすい社会を目指して活動しています。
 日本の法律では、同性婚は認められていません。私は、どんな性であってもその人が好きな人と婚姻関係を結べることが当たり前と考えていますので、パートナーシップ制度、ファミリーシップ制度を、どんどん進めていくべきと思っています。しかし、市長がおっしゃったように、まだ、国との格差がすごくあると思います。
 徳島市が頑張って進めることによって、他の自治体も意識が変わっていきます。地域格差がすごく問題だと思いますが、市長が頑張ってくれるということなので、一緒に進めていきたいと思っています。制度も大事ですが、人の心の部分での理解が進まないと、本当の意味での理解が進まない。ただ単にレインボー[4]をかざしているだけでは意味がない、と自分の実体験からすごく思います。やはり真の理解、学校、社会、企業の中、みんなが当たり前にいるということを知ってほしいと思っています。
(Aさん)
 私の子どもは、男の子で生まれて、今は、女の子として暮らしています。LGBTの中では、トランスジェンダー[5]、MTF[6]という形で呼ばれています。
 子どもは、小さいときから心の性が違うということを感じていて、小学校も中学校もずっといじめの中で暮らしていました。社会に出てからも同級生からのいたずらメールなどで、苦しい毎日があり、徳島から逃げるように岡山に行きました。岡山でも社会の中からのいじめがあって、心が傷んでしまい、死を選ぶぎりぎりのところまでいきました。今は、医療従事者の人たちに助けられて、生きていくという選択をして、頑張っているところです。
(Bさん)
 私は、ジェンダー[7]の活動、研究をしており、そこで、LGBT協会を知り、清水さんと出会い、本日、参加させていただきました。
(Cさん)
 私には子どもが4人いますが、一番下の子が性同一性障害です。男の子で生まれましたが、心が女性で、生まれながらにお兄ちゃんたちとは全然違う趣味嗜好を持っていました。子どもは、中学校あたりから悩み始めて学校に行けなくなったり、学校に行っても、いじめに合ったりしていました。話し合えるのは本当に心を許せる友だちだけで、親にもなかなか話ができないという状況の中、一人苦しんでいたような感じでした。
 今の法律では、性適合手術を受けなければ女性に戸籍変更ができません。手術は、日本でもやっと保険が適用されることになりましたが、彼女のときにはまだ保険適用ができませんでした。自費で手術を受けるとお金が何百万円とかかってしまうことに、彼女はすごく苦しんでいました。手術をしたいけどお金がいる、お金がないから手術ができない、私はどうやって生きていったらいいのかという葛藤の中で、いろいろな方法を考えました。親としても手術に対する葛藤があり、子どもの幸せを一番に考えれば、やはり手術した方がいいという最終結論にたどり着くまでには数年の年月がかかりました。
 今は、手術を受け、女性に戸籍変更し、神戸で生活していますが、小学校・中学校で受けたいじめや、性自認がはっきりしなかった時期があるので、自己肯定感がすごく低いです。今でも自分に自信が持てない、社会に出て、さあ頑張ろうと思ってもどうしたらいいのかと、ちょっとパニックになってしまうところがあり、苦しい思いをしているような状況です。今悩んでいる子どもたちのこれからの未来のためにも、ぜひともお力になっていただきたいと思っています。
(Dさん:オンライン参加)
 はじめまして、清水展人のパートナーです。今日は娘が体調不良で参加出来ず、皆さんにお会いできなくて残念です。
 私たち家族はパートナーの戸籍変更により、婚姻という形をとれていますが、一緒に活動している人の中には、戸籍が変更できないために結婚できずに悩んでいるカップルの方もいらっしゃいますので、そういう人たちの力になれるように、私も一緒に活動していければと思っています。
(意見交換)
(長坂さん)
 当事者でも、パートナーシップ制度もファミリーシップ制度も使わない人は、いっぱいいますが、制度を使うか使わないかではなく、大事なのは、選択肢があることだと思います。
 制度がなければ使えないので、制度をまず作る、そこから、知識をつけていってもらうのが大事だと思います。
(Bさん)
 私は、就労支援関係の仕事をしていますが、社会的な受け皿がどれだけ整っているかが大きいと思います。
 もちろん社内制度もそうです。パートナーシップ制度であれば、どこまで福利厚生がつくのかといったことや、金銭的に不具合が生じる、働きたいけど働けないということがなければ、ある程度、社会的に認められたという感じが出てくるのではないかと思っています。   
(Aさん)
 私の子どもは、就職の面接で、就職してから「えっそうだったん」と言われないように、自分のことを「見た目、写真も戸籍上も男なので、履歴書の性別欄は男に丸をつけていますが、心は女なので、実際に就職する時には、女子の格好で仕事をさせてもらいたい」と伝えました。でも、その瞬間から、相手の顔つき、目つきが変わって、面接にもならず、「今日はお帰りください」「履歴書をお返しします」ということが、10社、15社とどんどん増える中、やっと1社に入社できました。
 その会社は、LGBTの研修をしているので理解しているからと、採用してくれましたが、実際に働きだしたら、時間内にできない仕事量を与えられ、一人コツコツと残業していると、「なんで残業するのか」と責められ、いじめが始まりました。「あなたがどれだけ訴えても、世の中は変わらないのだから、あなたに勝ち目はない」と人事の人に言われて、結果、退職するという中で、子どもは傷ついてきました。
 それでも仕事をしよう、見つけようと、面接を繰り返していました。その時に履歴書だけ返してくればいいのに、わざわざ電話で「女性社員に聞いてみたら、『同じ更衣室を使うのか』『その人は女性更衣室なのか男性更衣室なのか』『トイレはどっちを使うのか』『一緒にいることで空気を変えるのであれば採用するのをやめてほしい』という返事だった」「あなたが就職したら、また傷つくだろうから、今回は見合わせます」と。
 そんな電話なら要らないのにかけてくる、相手が傷つくことの配慮ができない。研修を受けて頭でわかっていても心で理解していない。なかなか難しいことですが、心から理解してくれる社会になってほしいです。
 子どもは、昨年手術して、戸籍を変更し、改名しました。
 今日、私が「わくわくトーク」に参加することを、子どもに伝えると、「自分は戸籍も変わり、名前も変わり、堂々と履歴書の性別欄の女に丸をつけられる。でも、前は性別欄がすごく苦しかった。改正で履歴書の性別欄がなくなっても、販売されている履歴書には、まだ、性別欄がある。法律で決めていることと世の中のギャップがある」「トイレも、ショッピングモールの多目的トイレは、車椅子のシールと赤ちゃんを抱えているお母さんのシールだけ貼られていて、男性、女性のシールがないから、多目的トイレに入ろうとすると、『あなたは若いからあっちのトイレに行きなさい』と言われることがある」「小学生から高校生までの若い子たちが、まだカミングアウトできない状態の時に、多目的トイレに入ろうとして、『女性トイレまたは男性トイレに行きなさい』とか『ここは高齢者や体の不自由な人が使うトイレだから、あなたたち若者は使うな』と大人から指摘されたら、苦しいと思う」と。また、「これからの未来の子どもたちが、苦しまず、普通に多目的トイレを利用できるように、『女性男性のシールを貼ってほしい』と、岡山のショッピングモールの責任者の人たちに訴えてはいるが、『何言っているの』と弾き飛ばされる」「自分がここに至るまでの苦しみがあるから、今の苦しんでいる子どもたちのために何かをしたいと思って、いろいろな大人に向けて、自分が発信できる言葉でいろいろな所に行っている」「市役所、ショッピングモールに行って、『責任者を出してほしい、伝えたいことがある』と言ってもなかなか相手にもしてくれないということがある」と、昨日、電話でいっぱい話してくれました。
(市長)
 私も多目的トイレの名称自体に、若干、違和感があると思っています。
 私は20代で難病になり、体調を崩したときには、駅などの多目的トイレや乗り物の優先席を利用していましたが、「あなたは元気なのになぜそれ使っているのか」と、言われた経験があります。
 次の世代に向けて、何が出来るのかを常日頃から考えています。
 同じ問題意識があって、そこをどうしていくのか、見た目ではわからない人、もちろん難病の人もいますし、カミングアウトしていないLGBTQの人たちも含めて、どう守っていくのか、もう少し啓発が必要だと思います。徳島市として何ができるのか、ショッピングモールに話をすることなのかもしれないですし、何かやっていきたいと思います。
(清水さん)
 市長がおっしゃったように、見た目でわからない、例えば私はもともと女性で生まれましたが、今は、ほとんどの人が私を男性と思って接していると思います。保育所に子どもの送り迎えをしても、子どもがパパと呼ぶこともあって、私がトランスジェンダーだということは誰にもわからないと思います。
 声には出しませんが、私自身も男子トイレを使うかというと、もちろん男子トイレしかなければ、使うこともありますが、多目的トイレがあれば、そちらを使います。怖いという訳ではないですが、危険を感じることがゼロではないので、多目的トイレがあれば今でも使います。
 見た目ではわからないですが、いろいろなセクシャリティの人がいて、トイレの配慮というのは、人間が生きる上での安心安全の欲求というところからいえば、すごく大事だと思うので、理解というかハード面で進んでほしいと思います。
(長坂さん)
 ステッカーのように、目に見えるものが一番効果的だと思います。
 「誰でもどなたでもどうぞ」と一言あれば、入りやすいです。その一言の配慮があるかないかで、当事者もそうですが、入りづらい、行きづらいというのが変わると思います。目に見えるところに何かあれば、心の問題ですが、安心すると思います。その気遣い、心遣いがあれば行きやすいと思います。
(清水さん)
 更衣室に関しても、男性用と女性用があるから安心するというのもありますが、それ以外の人たちも1割くらいいるということを知ってもらうことも大事だと思います。
 先ほど、子どもさんが同じ更衣室を使うのかって、人事の人に言われたというのは、「無知」と僕は思いました。無知だから不安にもなり、混乱していると思いました。トイレも更衣室も男女だけでは使えない、困る人がいるということを知ってもらうこともすごく大事だと思います。
(Aさん)
 子どもの心がずたずたになった時、カウンセリングに行って誰かに聞いてもらえばと言われても、精神科のカウンセリングはお金もかかりますし、予約がなかなか取れないということもあります。
 子どもは、岡山市役所に、LGBTだけでなく、いろいろな障害で心のケアを受けたい子どもたちのために、無料で相談にあたるカウンセリングの先生がいて、一人20分くらい話を聞いてもらえ、予約したら毎日でも大丈夫ということを知り、毎日の自分の生活を涙ながらに話して、帰ってくるということを繰り返しました。何日か行っているうちに、たまっているものを全部吐き出せ、ちょっと落ち着くみたいなところがあり、すごくありがたかったです。
 中学生や高校生など、だれにも相談できない子どもたちが安心して胸の内を吐き出せるところが、徳島市役所の中にあるかどうかは、私はわからないですが、子どもと離れて暮らしているので、何かあってもすぐに行けないこともあり、岡山市役所にそういうコーナーがあったことで助けられました。
(清水さん)
 私は三田市のLGBT特設電話相談員をさせてもらっていて、市の人権課にトランスジェンダーの相談があれば、私につないでいただくことになっています。吉野川市や山口県の方でもさせてもらったことがあります。徳島市でも、時々カウンセリングや、聞いてもらえるところがあると、救われる人がいるかもしれません。 
 たまたま、僕は、AさんとCさんがいろいろ悩まれて、探されているときに、お話を聞くことができたので、大事に至らなかったというところはありました。公的にもそういったところがあるとよりいいと思います。
(市長)
 先ほどもおっしゃっていましたが、自殺を考えたり、自己肯定感が低かったりというのは、大人になる前、ずっと小さい頃からなのではと思います。
(Aさん)
 子どもは「生きていることに罪悪感がある。食事をとるというのは生きていくことだから、それさえも罪悪感で苦しい。生まれてきたことにも何の意味があるのか」と、どんどん自分を追い込んでしまい、措置入院させることもありましたが、今、子どもは一歩ずつ自分を振り返って、「悩んでいる言葉にも出せない子のために、何か言えるのだったらと、相手にはしてもらえないが、発言をしていこう」という気持ちの方に前向きになってきています。
(Cさん)
 私も子どもに昨日電話をしました。「今は手術をして完璧に女の子になったので、そんなに悩むことはない」と言っていましたが、以前はトイレもそうですが、役場や病院で名前を呼ばれて、戸籍が男で名前も男、しかし実際に見たら女、これどうなっているのかということが多々あって、そのたびに本人は傷ついていました。一緒に付いて行っている私も当然傷つきますし、履歴書の問題でも、本当に見るからに女の子なのにどうして性別欄の男に丸をつけないといけないのか、母親としてつらかったです。
 絶対変えていってほしいのは、受け皿です。そういう子たちは、会社で「うちの社員たちが研修も何も勉強していないから、ごめんなさい、受け入れられません」と、はっきり言われたり、やっと入社したところでも、自分がいたらいけないのかという気持ちで更衣室があるのにも使えずトイレで着替えたり、堂々と生きていけない、そういうつらい思いをしています。
 子どもにこれからどんなことをしてあげたらいいと思うか聞いたら、「制服の選択肢があってもいいのでは」「小学校は私服の学校も増えてきたけど、中学校、高校では男女で分かれるので、もっとフリーにしたらいいのでは」と言っていました。
(市長)
 男女の性別欄は、法律で決まっている場合は、市では決められませんが、市として必要ない、法的に決まってない部分は廃止する方向で全部局に通達を出し、なくしていくようにしました。
 男女に丸をつける度に、自分のことを考えてしまうということは、よくわかります。私も友人に難病と言うか言わないか迷う時期がありました。ちょっと違うかもしれませんが、カミングアウトするとどう思われるのか、これから自分は結婚も出来るのか、出産も出来るのか、どういう状況になるのかわからない、それこそ生きていていいのかという話も理解できます。
 選択が出来ることが重要だというお話がありましたが、現在、夫婦別姓の議論があります。使っても使わなくてもいいけど、選択できることにより希望が生まれ、明日への希望があれば人間は生きられます。その希望を作るために、障壁となる制度を崩すべきところは崩していかなければいけません。制服も、女性用スラックスや、男女の垣根があまりみえないようなブレザーにするなど、それは性自認に関わらず選択肢があれば、私も、もしかしたらズボンをはいて行ったかもしれません。
(清水さん)
 本当にそう思います。性自認うんぬんというのではなく、もっと選択できる自由の性表現があればと思います。先日もニュースで、男子学生が髪の毛を伸ばしているから校則違反だと保健室に行っているというニュースがありましたが、それは本当おかしい。選択出来るようにしてあげてほしいです。
 自分もセーラー服は本当に苦痛でした。部活動を朝の練習や夕方遅くまでやって、ジャージで登校する日々でしたが、男子学生服を着られるのなら着たかったし、ズボンをはけるのならはきたかったです。我慢してスカートをはき続けたので、今の子にはできる限り性自認や、したいことを尊重してあげる社会を大人が整えてあげたいと思います。
(長坂さん)
 話は変わりますが、私はLGBTのゲイです。Gとかバイセクシャル、レズビアンLなど、私たちは「いないもの」として扱われています。なぜなら、声を上げられないから、見た目でわからないから、だからいない、いないから声を上げられないと、ずっと不可視化されています。
 一番きついのは親に言えない問題、家族に言えない問題、学校・先生に言えない問題です。信用がなければ言えないし、特に親には一番言えない問題です。そのとき、当事者同士、同じ当事者に会えば、会うまで頑張って生きれば、生きられるんです。結局、当事者に会えないから自分で身を投げ出したりする問題が出ていますが、そういう声なき声を拾っていく、それは教育で、一番大事です。
 私は、2年前、徳島市でパートナーシップ制度を作るときに、親に初めてカミングアウトしましたが、親は気づいていました。でも、親にだけは言えませんでした。
 パートナーシップ制度を利用するには、パートナーと一緒に住んでいることが条件なので、私は北島町から徳島市に住民票を異動したのですが、市以外に出ると、利用できません。私の一番の問題は病院関係でした。10年つきあっているパートナーが緊急入院したとき、面会できませんでしたし、手術の同意書も書けず、他人扱いされました。
 また、パートナーシップ制度の認定カードがあっても、同居人と言われます。市が認めるカードを持っていても、同居人っていうのはなんなのか、それならまだ縁故者とかそういう言葉で呼ばれた方がまだありがたいです。特に住民票の続柄に同居人と書かれるのが一番つらいです。パートナーとか、縁があるなど、言葉一つですごく安心できるのです。
 私が一番に求めていることは、同性カップルを同性婚にまで持っていくことです。徳島市のパートナーシップ制度、ファミリーシップ制度を土台にして、次は県レベルに持っていきたいです。
 アンケートをすると、パートナーシップ制度、ファミリーシップ制度、同性婚に反対のところが徳島県内にあります。反対の議員もたくさんいます。当事者としての訴えに、「そんなの無理、少子化につながる」と言われることも多いです。先日、千葉県の新聞記事に「同性婚は人口が減る」とか、三重県議の同性カップルを公表するという発言がありましたが、それはだめと思います。人間として、憲法第14条法の下の平等があると思います。
 先日、札幌地裁の判決はすごくうれしかったです。憲法第24条、両性の合意のもとは難しいかもしれないですが、第14条は法の下の平等なので、それを守ってもらいたい。私は同性婚を望んでいますが、日本の人権はすごく遅れていると思います。G7の中で日本だけが遅れている、男女差別など、いろいろな差別があると思います。これからみんなで勉強していこうと思うので、行政と一緒に進んでいければと思っています。
 私たちはずっと病気扱いされてきました。昭和の時代に、ゲイイコールエイズと言われ続けてきて、病気的な扱いをされてきたから余計に言えなかった。言えないから、見えないから、誰かが発信しないと変わらない。結局いないものとして扱われるから、顔を出す、名前を出す、声を上げるというのが一番大事だと思っています。そこからのスタートと思います。
 このパートナーシップ制度は、2001年のオランダの同性婚から始まり、日本では、2015年、世田谷区、渋谷区から始まり、この4月1日で102自治体です。1700自治体の中の102しかないのです。それが、四国で、徳島市、高松市、この前高知市でも出来ました。名古屋、仙台のような大きなまちもないところはいっぱいあります。声を上げる人がいないからです。声を上げる人がいれば早い。だから声を上げる人になっていこうと思って、私は切り換えていきましたが、当事者から、ほっといてほしい、パートナーシップ制度はいらないとたたかれるなど、結構いろいろあります。
(清水さん)
 LGBTであることをあまり知られたくないという人もいます。
(長坂さん)
 LGBTという言葉より、性的マイノリティなど、いろいろな言葉がありすぎて。
 当事者から打たれることがありますが、それに向かっていかないと変わらないと思います。自分のことも大事ですが、これからの子たちのためにというのが一番大事と思います。こんなことで悩まなくていい、カミングアウトしなくていい社会にもっていきたいです。
(Cさん)
 ありのままの自分を隠すこともなく、自分は自分であっていい社会が築けたらいいと思います。隠すこともなく、公表や大々的なことをしなくても、誰々ちゃんは誰々ちゃんでいいというフリーな社会に。
(長坂さん)
 個性の一つ、色は赤が好き、青が好き、黒が好きとか、食べ物は肉が好き、魚が好き、野菜が好きという感じで、それが少数派でもいいのではないでしょうか。
(Cさん)
 そうですね。そんな感じで、性もいろいろな人がいるのでいいのではないかと思います。
(清水さん)
 先日、講演に行ったとき、先生が「こういう授業をすると事前に生徒たちに話すと、テレビでマツコデラックスを見ているなどの影響によると思うが、生徒たちはすごく理解が早い。やはり変わらなければいけないのは、教師や大人の方で、受け入れていないのではないか」と、話してくれました。大人がもっと勉強することが大事だと思います。
(長坂さん)
 生徒に向かって話すより、教職員に向かって話す。同性婚、夫婦別姓にしても、やはり反対するのは年代の高い人です。
 そういう人にどうやって知ってもらうかです。少子化は、LGBTが原因ではありません。
(清水さん)
 トランスジェンダーで子育てをしている人、同性カップルで子育てをしている人もいます。
(長坂さん)
 同性カップルでも里親委託、里親制度などがあります。しかし、同性カップルが育てていると変な目で見られます。
 徳島市のファミリーシップ制度を見せてもらいましたが、充実していると思います。中身を見たらいいと思うことがたくさんあります。
(市長)
 もっと皆さんの声をお聞きしながら、行政の中でできるサービスの話ですが、先ほどのトイレの話、就職関係の話も含めて、改善できることは改善していきたいと思います。
 例えば、子育て支援をしている企業には、厚生労働省の認証制度があります。実際にできるかどうかわかりませんが、LGBTQのことを理解しています、研修を受けています、わが社はウエルカムですという企業の認証制度を設けるなども考えられます。
 そういう多様性を認めるような市役所でありたいと思いますし、また、そういうまちになるように行政として、出来ることをやらなければと思っています。何か企業に働きかけられるような可能性もあると思います。そういったことにより、徳島市の企業で働きたいと思って移住してくれるかもしれませんし、多様性を受け入れるまちというブランディングを私はやっていくべきだと思います。国としてはまだ制度がないけれども、徳島市には、ファミリーシップ制度もパートナーシップ制度もあります、企業もウエルカムです、トイレもこういう形でしています、制服もこういう形で実施しつつありますとなっていけば、まちの意識、雰囲気が変わると思います。
(長坂さん)
 盛り上がりもあると思います。LGBTQに対する支援に賛同する企業の影響も大きいと思います。いくら教育や制度を整えても、民間から見る目を変えていかなければ、社会は変わらないと思います。大手の企業、例えばドコモ、JAL,ANA,NTTなどは進んでいます。市長がおっしゃったように進んでいる企業、協力している企業を認定すれば、その企業も得をすると思います。活動が社会貢献になるかもしれない、人口が増えるかもしれない、いろいろな意見があれば、いろいろな方法を考えることが大事と思います。いかに人口を増やすかと思います。
(Cさん)
 話は変わるのですが、生命保険に入りたいと思っても扱ってくれる会社がありません。
(長坂さん)
 以前はありませんでしたが、今はいろいろな保険会社がありますし、同性を扱う保険も出てきましたよ。
(Cさん)
 私の子どもは性別を変えたので、戸籍の四男が長女になるものと私は思っていましたが、四女となりました。これは、どういうことですか。
(Aさん)
 私の子どもは、長男でしたので、性別変更で、長女となりました。
(Cさん)
 私の子どもは、四男で生まれて、男が女に変わり、四女です。
 それはおかしいと思うので、改善してほしいです。
(市長)
 戸籍の取り扱いは国ですが、確かにそうですね。
(長坂さん)
 誰が聞いてもおかしいことはおかしいです。
(清水さん)
 話が戻りますが、先ほど、市長がおっしゃった雰囲気づくりは、すごく大事だと思います。私も兵庫から徳島に来ましたが、徳島でこういうことをやれば、本当に県外から人がやってきたり、移住してきたりすることがあり得ると思います。
 アメリカのロサンゼルスにある世界最大のLGBT支援機関を何度か見に行ったときに、そこでは、医療機関、教育機関と連携をしている大きな建物、LGBT支援センターがあり、ドクターも100名位いました。もちろん、エイズの検査、トランスジェンダーだったら更年期障害のことを診てくれ、階が変わったら、学校と連携していました。先生たちの中で研修を受けていたら、いつでも私に相談してくださいとわかりやすくなっていたり、企業と連携してイベントをやっている階があったりと、そういう例を見たことがあります。
 徳島市もやり方はいろいろあると思います。パレードをする、企業に研修をしたステッカーを貼るなど、どんどん盛り上げていけたら私も協力できることは全力で協力したいと思います。生きやすい社会に向かってぜひ盛り上がっていけるようにみんなで頑張りたいと思います。
(長坂さん)
 あと、まちづくり条例やレインボー都市などに関し、トクシィにレインボーフラッグを持たす、パネルを置くなど、お金をかけずにいろいろな目に見えるところに何かする方法もあると思います。反対する人もなかにはいると思うけど、「徳島市はこれを条例としてやっていく」「決まったことです」くらいにしてもらいたいです。「当事者も、もっと胸をはってもいいです」と背中を押してほしいです。
 先ほど人権推進課に行きましたが、フラッグが無かったです。レインボーフラッグは6色ですが、徳島市は8色ですね。やはり目に見えるところに置いておいてほしいと思います。
(清水さん)
 可視化ですね。トイレもステッカーを貼るだけなら、経費はあまりかからないと思います。先日、パレードをしましたが、全然お金はかかりませんでした。駅前を、みんなで旗を持って上げていただけで、お金をかけずに、やれることはあると思いました。
(市長)
 今、ジェンダーギャップの解消に向け盛り上がっているので、一緒になって、D&I[8]、ダイバーシティ[9]&インクルージョン[10]で、みんなが生きやすい、あなたはあなたのままでいいというのを打ち出していければと思います。LGBTQだけに特化するわけでなく、障害者も、ガンの患者も、難病の人も、人それぞれでいいと。
(長坂さん)
 パレードについては、当事者だけでは歩きづらいと思います。なかなかレインボーパレードは、徳島県内の人は、自分で参加できないと思います。当事者以外も含めて、いろいろな人がまとまって、例えば支援者や障害を持たれた人などを含めたパレードはすごくいいと思います。そのときでないと集まれないですけど、いろいろな人が集まって、そういうのがあれば面白いのでは。徳島市から発信してもらえたら、発信することで変わってくると思います。
 発信が声です。声が束になる。束になったら大きいと思います。
 徳島市が出来たことによって、他の市もできてくる、いつか私は県に持っていきたいですし、県から国に持ってきたいというのがあります。声を上げていくことが大事と思っていますので、行政もよろしくお願いします。
(市長)
 私は中学、高校生の頃から社会的マイノリティの支援をしたい、社会を変えるために弁護士になるというのが夢でした。今は、市長という立場で、社会的マイノリティの支援で何ができるのかをすごく考えています。今後、皆さんのご意見を聞きながらできることはやっていきたいと思っていますので、いろいろなご意見を、担当課にもお寄せいただければ、できることはやっていきますので、よろしくお願いします。最後に何かご意見はありますか。
(清水さんのパートナー)
 皆さんの意見と同じところも多々ありましたが、やはり制度を整えることも大事ですけど、それを扱っていく市民の人々の意識や、会社の中の人、そういうところが、実際に生活していくうえで大事だというのをすごく思っています。そのあたりが整っていければいいとあらためて思いました。
(Aさん)
 最後に、私の子が、LGBTやトランスジェンダーなどの言葉を知らない、小学校の2年生位のときの話をさせてください。
 子どもは「自分はなにか他の子とは違う」と感じていたようですが、30年も前なので、当時は情報も言葉自体もなかなか見つからない状態です。そんなときにふれあい健康館の1階に、子どもだけが使えるパソコンコーナーがありました。家では覗かれたらいやなので調べられないことを、そこに行って調べるために毎日通っていたそうです。近所の人から、あなたのところの子どもは毎日ふれあい健康館にいるよと言われました。調べても、調べ方がわからない、言葉の入れ方もわからない、LGBTっていう言葉もわからない。
 やっとパソコンで調べて、ああそうだそうだとわかった小学校の5年生か6年生のときに、コーナーはなくなりました。
 このコーナーがなくなるというのは、自分の居場所がなくなるという感じで。そこには何人か同じように繰り返し来ている子もいたようです。それぞれの悩みがあって、そこで調べて、読むだけ読んだら帰るというようなことを繰り返している子が集まっていました。家でもしゃべれない、学校でもしゃべれない、ただ、そこに行けば何か心が安らぐ、あのコーナーを復活してもらえれば、悩みのある子の解決の糸口になるかもしれません。
 そのほかにも、子どもだけが使えるコーナーに、LGBTに関する本などを置いたり、心のよりどころみたいな場所を作ってもらえたらと思います。
(市長)
 子ども達が直接相談に行くのは、ちょっとハードルが高いというデータもあります。電話相談も減り、ライン相談が増えている現状があります。県などもラインなどで相談できるような体制をいろいろ整えていますが、個人的に、孤独対策をやっている大空君という、NPOのみんなの居場所をやっていて、孤独の担当大臣を国に作ってもらった立役者の慶応の男の子とも何かできないかと話をしています。
 LGBTQ、性自認の話だけでなくて、いろいろな悩みが小学校、中学校、高校とずっとあると思うので、そういうときに、いろいろな場所で相談ができる、電話でもできる、ラインでもできる、こういうNPOもある、それこそ選択肢があるということがだと思います。そういう徳島にしていきたいと思っています。悩んでも自殺までいたらない、悩んでも思い詰めない、親にも言えない、先生にも言えないとなったときに、第三の居場所、そういう場所が作れるようにやっていきたいと思っています。

以 上

 
[用語解説]

[1]パートナーシップ制度
 二人が、お互いをともに支え合いながら生きていく人生のパートナーであることを宣誓し、市がその宣誓を公的に証明する制度
[2]ファミリーシップ制度
 パートナーシップ関係にある二人と同居する子どもにも、家族関係にあることを証明することで、多様な家族の形を認め支援する。
[3]LGBTIQA
 性的マイノリティの総称の一つ。レズ・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字の組み合わせであるLGBTにI(インターセックス、生まれつき両性具有者)Q(クエスチョニング、自分の心の性がわからない人)A(アセクシュアル、誰に対しても恋愛感情や性的欲求を抱かない人)を加えたもの。
[4]レインボー
 LGBTの象徴とされる虹色の旗(レインボーフラッグ)のこと
[5]トランスジェンダー
 出生時の戸籍の性別とは異なる性別を自認する人を指す。
[6]MTF
 Male to Femaleの略。出生時男性だが、性自認が女性の人。
[7]ジェンダー
 社会的・文化的につくられる性別のこと。これによる格差をジェンダーギャップという。
[8]D&I
 「ダイバーシティ・アンド・インクルージョン」の略。多様性を受け入れること。
[9]ダイバーシティ
 多様性
[10]インクルージョン
 包含、包括
 

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